胆嚢ポリープ
胆嚢ポリープの種類
良性のポリープが 疑われる所見 |
悪性のポリープ(癌)の 可能性がある所見 |
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大きさ | 多くは10mm以下 | 10mm以上 |
数 | 複数 | 1個 |
ポリープの形状 | ポリープに茎がある(有茎性) |
裾野が広い(広基性) 胆嚢の壁が厚い |
以前と比べて | 昔から変わらない | 以前より大きくなってきた |
年齢 | 若い | 60歳以上 |
良性のポリープ
胆嚢ポリープの大半(90%)以上はコレステロールを主成分とする良性のコレステロールポリープです。大きさは10mm以下で桑の実様の形でポリープに茎があること(有茎性)が多いです。自覚症状はなく、癌化のリスクもないため治療の必要はありません。その他の良性のポリープとしては腺腫や過形成ポリープ、炎症性ポリープがあります。
悪性のポリープ
一方でポリープの中でも稀に悪性のものがあり、胆嚢癌と呼ばれます。大きさが10mm以上であったり、裾野が広い形(広基性)をしていたり、他にも「胆嚢の壁が厚い」「以前と比較して大きくなってきた」などの所見が認められます。悪性の可能性がある際には治療が必要です。その詳細については後述します。
胆嚢ポリープの原因
胆嚢ポリープができる原因は詳しくは分かっていません。コレステロールポリープは、大半が胆汁中のコレステロールが胆嚢粘膜に付着したものであり、近年の食生活の欧米化が原因の一つとなっている可能性が指摘されています。
胆嚢ポリープの症状
胆嚢ポリープには、自覚症状はありません。それが大きな特徴と言えます。そのため、自分で気づくというケースはなく、検診や人間ドックなどで腹部超音波検査を行った際に偶然見つかるものが大半です。
胆嚢ポリープの検査
検査には体外式の腹部超音波検査や造影CT/MRI検査(当院では行なっておりません)が行われます。CT検査やMRI検査ではポリープが小さい場合は写らないことや胆石と見間違えることがあります。まずは患者さんの体の負担の軽さも考え、体外式の腹部超音波検査を行うことが多いです。その他、補助検査として血液検査で肝機能や腫瘍マーカーのチェックも行う場合があります。
体外式腹部超音波検査
体外から超音波の出る機械を腹部にあてて、患部の状態を見ていくという検査で、痛みはありません。超音波を用いるため、X線検査と異なり、被爆するリスクもありません。ポリープの有無や、有る場合はその場所や大きさなどを確認することができます。必要性のある場合には画像検査と連携します。
胆嚢ポリープの治療
胆嚢ポリープに悪性の可能性が少しでもある場合、手術もしくは非常に慎重な経過観察が必要になります。手術は、胆嚢の場合、胃や大腸のポリープの様にカメラでポリープだけを切除することはできず、胆嚢をまるごと摘出する必要があります。全身麻酔の上で、腹腔鏡下、または、開腹での胆嚢摘出術が行われます。術前の胆嚢癌の可能性の高さによって、どちらの術式かを選択します。
胆嚢ポリープが悪性の可能性は低いと判断された場合でも、この部分は組織検査で確定診断をつけることが困難な臓器であることから、定期的に経過観察が必要となります。「ポリープが大きくなっていないか」「形状に変化がないか」などを、腹部超音波検査や造影CT検査などの方法で、定期的(半年~1年)にチェックする必要があります。
またその際は、経腹超音波検査では観察が難しいケースもある胆管なども、同時に調べることができます。